歯科における仕事って、言うと、クリニックに来院して頂き、治療を行う。これが、今までの基本で、この形態は今後も残ると思います。唯、高齢化社会になって行く時、歯科医院にも新しい運営スタイルを求められているのかなって感じ始めてもいる今日この頃でもあります。
平たく言えば、訪問診療も、日常業務に求められている。この是非を問いたい訳でもなく、抗議をしたい訳でもありません。新しい診療スタイルは、何時しかトレンド入りをするのかもしれませんが、当院は、訪問診療に関し、ウィングを拡げる予定も余裕も無いというのが実際です。
訪問診療という行為が、質を考えずに行えるならば可能かもしれませんが、それなりの質を担保しようとする時、それは重荷以外にはなりそうでしかありません。この設備投資から考える時、歯科クリニック内に新しく開業する事業を興すぐらいの覚悟を要求される気がします。中途半端な覚悟や、責任感で進められる物では無い物と、個人としては判断しています。
これを行うには、勤務しているスタッフとも、相当に丁々発止を行いながら、話し合いを進め、同意と合意を得る必要もあるでしょう。とてもではないですが、クリニックに、そんな余裕も余力もあるとは思えません。
仮に国が求める訪問診療を行うとなれば、歯科医をもう一人。スタッフをおそらくもう一人か、2人雇用しないと難しいだろうというのが、経験から予測できる事。そして、時に、これに関しても教育を含め、研修が必要になるだろうというのが本音。とてもではないですが、そんな余裕は私にはありません。訪問診療を行うと、いざ始めてもすぐに運営が成立する数の患者がいるとは思えず、だからと言ってクリニックに歯科医3名が活躍できるスペースがある訳でもない。運転資金から準備して、運営が成立するまで耐える時間までを計算しないと行けない。それを、行う余裕などありません。ようやく社会保険の昨年度分の支払いが終えそうでも、来年の税金迄は余力はまだありません。まだまだ、流行り病のダメージからは抜け出しそうにありません。ただ、一日も早く普通という感覚を覚えたく思っている今日この頃でもあります。
クリニックの運営というのも、常に危機感と隣り合わせでしかありません。歯科医院を開業した時から、どの院長先生も経営(という側面で見ると)は順風満帆という時代を知らない世代だらけだと思います。ですので、緊張感を恋人にする以外なさそうです。ただ、時代に置いて行かれないよう、歩む以外ないと、性格からですが、ため息混じりながら思っています。
そういえば、”GAFA”が情報を握る力を得た象徴の出来事もあったそうです。ショシャナ・ズボフ氏の紹介する”監視資本主義”では、2016年をその出来事に挙げられています。
この年のアメリカ大統領選では、マスコミもジャーナリストも米国民の多くも「この選挙はヒラリー・クリントンが勝利するだろう」と考えていました。ところが、蓋を開けてみたらドナルド・トランプ候補の勝利となる。大番狂わせだったそうです。 この理由は、ケンブリッジ・アナリティカ社という政治コンサルティング会社がFacebookから個人情報を買って、この企業がターゲットを巧みに絞ってトランプ候補を売り込み、これが米国民の多くを扇動した。
この実態が後に露わになった。という事だったそうです。
アメリカの人でも、アメリカに暮らしている訳でもないので、判断も判別仕様も無いですが、人々の熱気とか息吹とか、そんな側面は、一切の考慮が含まれていないので、この推論に関しては、怪訝な感覚しか個人としては覚えません。ところが、つい最近の大統領選では、”GAFA”の力を駆使されたのか、逆の事が起きたように感じてもいます。どうなのでしょう。分からないというのが実際です。でも、どうやら、見せたい情報と、紹介しては行けない情報という既得権が生れた瞬間の出来事のようにも感じています。
唯、個人情報の多くをいつの間にか、預けている構造になっている。
そういえば、こんなニュースを目にします。出入国在留管理庁が人手不足の深刻な業種14分野で定めている外国人の在留資格「特定技能」について、2022年度にも事実上、在留期限をなくす方向で調整していることが17日、入管関係者への取材で分かった。熟練した技能があれば在留資格を何度でも更新可能で、家族の帯同も認める。これまでの対象は建設など2分野だけだったが、農業・製造・サービスなど様々な業種に広げる。
きっと、そうなのでしょう。でも、本当にこれ以外、考える案はないのか、不思議に思ってもいます。アメリカの人でも、アメリカで暮らしている訳でもないのに、アメリカほど景気が良くなっていないのに人手不足。こんな事があるのでしょうか?
現場観(こんな表現はありませんが、ニアンスとして)というべきか、現場感覚からすれば、ちょっと景気がいいからと、人員を増員すれば、政治の人か、役人か、或いは、日銀か、手のひら返してデフレが始まる。
これは悪夢と、個人事業といえ経営者の顔に戻れば、ここに戻らざるを得ない。 しかも、1回でも、こんな事があると、一生ダメになるインパクトが齎されます。政治の人も、役人も、日銀の人も知るまい。
言い方が悪いですが、求めなくともスタッフの総入れ替えという現象に悩まされる(可能性も出て来る)。これは、当院も経験します。現場にいる側は、途方に暮れる以外ない。政治の人も、役人も、日銀の人も興味はあるまい。
理解出来る事は、賃金は容易に上げられないし、採用も慎重にならざるを得ない。
太字の部分が、実行されたら賃金の下方硬直性は、再び強まるでしょう。そうあって欲しくありませんが。
それでいて、労働者の保護は確りと求められる。それであって、経済の実態とかけ離れすぎるセーフティネットはどうなのでしょう。やりすぎという側面は無いのでしょうか。 逆に、そのセーフティネットを国に関わる方が働く人に保証するなら、絶対にデフレにしないという経営者・雇用者側にも、セーフティネットを行う事を保証(補償)すべきとすら思います。併せ、職を賭すべきと思いますし、出来なければその責務から仕事場から、関わる方は退場して欲しく思います。政治の人も、役人も、日銀の人も、そんな選択をした人を知らない。
国の運営をされる方々は、とてつもない高い理想を志されているのでしょうが、そんな理想を掲げる前に、肌感覚の実態を省みて欲しく思います。出来ない理想に浸り続けられるなら、退場(即ち失職)され、肌感覚をリアルに知られた方が良いと思ったりもします。政治の人も、役人も、日銀の人も、知ればデフレを避ける知恵を出せる様に成ると思います。
理想高い人は、セーフティネットは、相当に用意されました。これは、これであり、働く人は、少なくとも昇給という側面は、今持って経営者が肯定するには、難しい課題、或いは環境と思います。これを悪いと思いません、というか、仕方ない側面が多分にある気がします。だから、これを具現化出来る経営者というのは、相当に優秀と思います。
当院は、一名の衛生士を来年に向けて募集をしています。果たして、どうなる事やらです。衛生士の人、これに目を通す機会があり、求職状態なら、是非、どっかに募集要項が出ていますので、熟考の上、ご連絡くださいませ。落ち切らない所で、おしまいです。