疼痛や顎関節症の原因となる噛み合わせの問題と対処法

疼痛を訴えて患者が来院された場合、歯科医院にとって非常に重要な局面を迎えます。今回は、歯の痛みではなく、疼痛が身体、顎に対し訴える患者に対しその問題を紹介します。顎に限局して疼痛症状を訴える方よりも、歯の痛み・どこの歯とは中々把握できない中、疼痛を訴える患者も数多くいます。更には、顎以外に身体のあちらこちらに対し痛みを感じる患者すらいます。こういう方々は、平易に語られる噛み合わせが悪い、歯並びが悪い等の現行の現症理解で捉えようとすると、歯科医側が理解が出来ない可能性もあります。結論を言えば、歯科医が検査法と診査法を抑えていないと、診断が難しい可能性が生じます。

過去は、色々と現症を病名で整理しようとしますが、今は筋・筋膜筋痛症と言う理解の下、その拡がりから現症を理解するように変わってきています。

歯には、正常な機能を守るために噛み合わせという大切な要素があります。しかし、噛み合わせの問題があると、様々な疾患を引き起こすことがあります。この一般論に対し、不足している捉え方に、感作系という側面があるかもしれません。噛み合わせが悪い事で、どのような感作系が働くか。歯並びの悪化・叢生のお陰で、その補償の為に、新たな感作系が働いているのか。この把握抜きでいるならば、疼痛の原因は曇ったままの状態という可能性もあります。それとは別に、その影響で、新たに虫歯や歯周病が発生しやすい状態も生まれる。そして、防御的働きから、歯ぎしりや食いしばりが起こることもあります。その後、顎関節症が生じる。時にそこから発展し、頭痛や耳鳴りなどの不快症状に発展する。

このような複雑な状況が相互に作用しあって現症が構成される。ですので、平易にかみ合わせが悪いから疼痛が起きる。このような理解は避けられた方が良いと思います。

噛み合わせに問題があるとなった自覚された場合。歯科医院で診断を受け、治療を受けることが重要である判断は違わないでしょう。この症状への理解が深く、臨床経験をお持ち歯科医の下で診察を受ける事が大事なのかもしれません。

顎関節症とは、顎の動きに関する障害を起こす疾患のひとつです。代表的症状は、音が鳴る・開閉口障害・開閉口時に顎周囲組織に痛みを感じる。この３つです。それ以外の症状を併発している場合、それは現行の保険制度では顎関節症の症状と扱われません。過去は、いわゆる顎関節症と分けて、臨床サイドに理解が出来る様な工夫をしていましたが、現状は筋・筋膜疼痛症候群として整理をされています。筋・筋膜疼痛症候群は、保険対象外の症状です。

噛み合わせの問題が疼痛や顎関節症の原因になることは、歯科医療において一部では言われています。只、その事実を理解している歯科医療者は少ないようです。単純にスプリントを入れれば落ち着くという風潮が中心のようです。

座学上の理解として、噛み合わせの不均衡は、歯に過剰な力がかかり、歯や歯茎の痛み、頭痛、顎関節の痛みなどを引き起こす。大部分の歯科医が共有している知識です。また、咬み合わせが悪いと、顎の関節が正確に機能しなくなり、顎関節症を引き起こす可能性がある。これも、多くの歯科医が共有している知識です。では、この逆の情報。先に紹介した情報に関し、治りました。そんな紹介をしている情報体があるか。

歯科医師は、バランスの良い噛み合わせを診断し、必要に応じた処置を行う。正しい噛み合わせは、歯と口内の健康を維持するために欠かせない重要な要素です。これに対し、発信している情報体があるのか。そんな目を持たれてみると、別の景色が見えてくるのかもしれません。

歯科医院で、古くから存在し、そして今もって最新の課題は、噛み合わせの不良になります。噛み合わせが悪いと、噛み合わせの部位に痛みや違和感が生じる。それ以外に、歯やその周辺の組織に負担がかかる問題を挙る事が出来ます。噛み合わせの問題を解決するためには、一般論として、原因を特定することが重要です。

一つ確認しましょう。補綴をセットした際、慣れますよ・様子を見ましょう。こんな言葉をかけられた経験が多いのではないでしょうか。この現状で、特定が出来るのか。こんな疑問が生じないでしょうか。正しい方法を選択し、適切な治療を行うことで、噛み合わせの問題を解決することができる事は間違いないでしょう。

では、何故今もって最新の課題になるのでしょう。この特定が、それだけ難しいという事を知った頂けると良いのでしょう。