制御系。ここに、ノイズが生じると厄介なのです。当院の場合、ボケをかます。が、一番のノイズなのです。
2024/04/22
丸幸 玲子です。
チャップリンの話をしようとしていたのか、臨床の話をしようとしていたのか。それとも、“る”の人と化す物語のコントの小話を紹介したいのか、段々と分からなくなってきました。
笑いを狙う作業よりも、アンドロイド検索に引っかかる感動的な臨床の話を構成すべきなのでしょうが、どうやら私には出来そうにありません。困りました。
チャップリンは、貧困、母子家庭と辛い幼少期を過ごしたそうです。只、彼は、母親のことを「インスピレーションの源」と自伝に記したぐらい大事な心の宝ものにされていたよううです。母の名はハンナ・チャップリンと言います。そして、彼の心に3つの火を灯した。 その3つの灯は、「愛・慈悲の心・人間の心」といわれています。この3つはチャップリンの長きにわたる映画制作において、大きな役割を果たした。
こんな具合に、チャップリンの話をしようとしていたのか、臨床の話をしようとしていたのか。それとも、“る”の人と化す物語のコントの小話を紹介したいのか、段々と分からなくなってきました。
只、言える事は、”る“の人と化すボケは、何々をするとか、明確な指示を出しそこに、”る“が加わると、”る“の人に化す。
ただ、そのボケを発揮させない様、院長も工夫をします。何々をしてください。何々をやって頂きたい。
しかし、ダニーさんは、つわものです。
「先生さ、何を言いたいのか、俺分からないダニー」
院長も、無意識にそうかと考え、何々をする。これでどうだ。と返します。
しかし、その瞬間“る”の人に化す。凄い事と私は思います。そして、院長は、絶望の顔を見せる。
私もその時を確認してしまいます。間地かで見られるとは、つゆ思ってもいませんでした。しかし、確認してしまった。
少しだけ時間を戻します。
楔上欠損は、光照射器で固めるという事が求められます。
レジンを楔上に乗せて、光を当てる。
院長は、言葉を選びながら、押すボタンを、確認したね。と、“る”を避けるように、ダニーに確認します。
ダニーは「大丈夫ダニ。任せるダニ。」と返事をします。
しかし、事件はここから起きます。
まさか、ダニーが、ここでボケをかます準備をしてくるとは、私は考えてもいませんでした。
このボタンを用いてボケを周到に用意しているとは思ってもいませんでした。
院長は、言います。今、光を当てて(決してボタンを押してくれる、と言う言葉は用いないよう周到に準備しています)
しかし、ダニーは「院長、どうするダニ」
「指示をくれダニ」
ボタンを押すの。
「どのボタンじゃ。分からないダニ―」と、ダニーさんは次々とボタンを押します。私が凄いと思ったのは、ボタンがない所まで、押す。そして、光を出すボタンは、絶対に避ける。
院長は、瞬間に終わらせないと行けない仕事内容なので、思わず叫びます。「ボタンを落ち着いて、押してくれる。」
院長の顔色が変わった。
ダニーは、“る”の人に変わった。ボケが本格的に始まった。照射器を、西部劇のガンマンの様に腰元に持って行こうとする。彼女の役作りは完璧だ。
私はたまらず取り上げ、私が照射する。そして、事なきを得る。
院長は呟く。ゾーイから始まった。そして、次々と伝播した。人生に必要なのは、勇気と、想像力と、そして、少しのお金かもしれない。これが、武士は食わねど高楊枝とか、葉隠れの精神に繋がるのかもしれない。しかし、仕事は確実性と、協調性と、協力性、主体性、独立性が大事と思う。ここにボケる作業は不要と思う。でも、ボケを入れないと、お茶目でないというこの精神、どうすれば良いか分からない。
その2時間前、線維筋痛症患者を前に、院長は脈を取りながら、組み立てを行っていた。私は、こういう姿を取る院長を、歯科医として尊敬する。
しかし、院長は、仕事のスパイスにボケるという芸ごとが密かに流行っていると嘆く。これを、私はようやく感じる事が出来た。
院長が、コントを見ているようだという違和感を持った台詞の意味がようやく汲み取れた気がする。
院長の台詞の前半は、確かにチャップリンの残した言葉だ。喜劇王であり、その映画内に悲劇も盛り込む。当時としては、斬新な演出法だったらしい。
コントをしながら治療をする。こんなのは、斬新でも何でもない。只、どうすれば良いのか…
ぶつぶつ呟く院長の話を少しだけ聞いていた。
どうやら、それは、ゾーイから始まったようだ。それを、私は汲み取れた。
この頃は、ゾーイのボケが急速に減って、ブログのネタにする事は無い。大人になったのね。ゾーイ。私や一堂は頼もしく感じていた。
しかし、ゾーイはそれが不満だったようで、一生懸命、ボケをかます努力は怠っていなかった。
例えば、当院にはいない患者名を例に紹介したい。
伊集院ひろみこんな名前の男性患者と、女性患者がいるとする。
患者が来院すると、ゾーイは、伊集院さんがお見えになりまた。ここ迄は良しとする。
院長は、治療の組み立て上、先ず、男性か女性か教えて欲しい。
ゾーイは、ボケをサブリナちゃんと、ダニーが、目一杯持って行っている事が、気に喰わないらしい。
一番最後の音は、ミだよ。と返す。
院長は、ゾーイがボケられない苦しさを認めつつ。慎重に言葉を選ぶ。
ゾーイ。分かった。。ボケたい事は分かるが、今はその時ではない。私は、患者の治療中だ。区切りが付いたら、向かうから男か女か。それだけを教えて欲しい。
えぇ。じゃあ、昭和46年生まれじゃない方だよ。
分からない。
えー。じゃあ、番地が5丁目の人。
分からない。
じゃあ、府中に住んでいない人で、どちらかと言うと府中から離れている方。(どちらも府中に居を構えて居ない)
院長はこのボケに苦しむ。
治療中だから、感情に身を任せて離れることは出来ない。
一区切りをつけると、ゾーイに注意に向かう。
男性か、女性か。それだけを応えてくれたらいいのだけど。
えぇ、つまんないの。院長は、カルテを確認しろって言っているじゃない。だから、カルテから抜粋してみたのに。
このボケをしたいという欲求に困っている事を私は、報告を受け、ゾーイを戒めた事がある。ストレートに返してあげて。そのように伝えた。
院長から、その後、相談と報告が来ていなかったから、安心していたが甘かった。確かに、院長は、あいつ、相当溜まっているぞ。口がボケたいのに真面目な行動を求められている。なぜ、これでは、ゾーイの良さが消えるって。本人不満顔だぞ。参った。
どうする?
私は何も答えられなかった。
制御系の出入力を、邪魔する物。自律性と言う言葉を紹介しました。さらに足すなら、自律的な自動運転を滞りなく行う。その際、機構的に無理が生じた場合、どんな事が起こり得るか。
物語調に表現してみました。暗喩のつもりです。
如何だったでしょうか。
さて、オチ迄もう少し。
もう少しだけ、お付き合いください。
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